令和5年度宮城県視覚障害者福祉ガイド

1 はじめに
 視覚障害が原因となって起こる様々な問題について、その解決への手がかりとなるよう、福祉施策や所得保障制度、そして生活関連情報などを録音図書の形で提供することといたしました。
 多数の視覚障害の皆さん方にご活用いただき、社会生活における利便性の向上と制度の手引として少しでも役立てていただければ幸いです。

2 視覚障害者の所得保障制度
 国が行っている社会保障の中で、個人の収入を確保する所得保障の制度として、公的年金制度、生活保護制度、生活困窮者自立支援制度があります。
 現行の公的年金制度には、大きく分けて、国民年金制度、厚生年金保険制度の2つの制度がありますので、それらについて御説明します。
 そして、生活保護制度と生活困窮者自立支援制度についても、その概要を御説明します。

⑴障害年金制度
 障害年金は、一定の基準に該当する障害の状態にある方が、原則20歳から64歳の間に請求する制度です。
 国民年金制度と厚生年金保険制度の障害年金は、基本的な仕組みは同一です。基本を説明しながら、制度により異なる部分の説明を加えていきますが、概略となることを御承知願います。また、障害年金は、お一人お一人給付が異なる年金ですので、具体的な御相談を早めに行っていただくことが最も大切といえます。
 

 1点目に、「初診日」について説明します。
 障害の原因となった病気やけがで初めて病院等を受診した日、これを「初診日」と言います。後での説明となりますが、障害年金において初診日がいつであるかの特定が重要といえます。
 

 2点目に、年金を請求する制度について説明します。
 初診日が厚生年金加入中である方は、厚生年金の障害年金を請求することになります。それ以外の方、つまり、初診日が「20歳前の方」、「国民年金加入中の方」、「60歳から64歳の間の年金に加入していない間の方」は、国民年金の障害年金を請求することになります。
 

 3点目に、請求できる時期と年齢について説明します。
 原則、初診日から1年6か月を経過した日、又は1年6か月以内に治った場合(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態になった日を含む)はその日から請求ができます。この日を「障害認定日」といい、障害の程度を定める日となります。また、初診日から1年6か月の「障害認定日」時点では障害の程度が軽かったために基準に該当しなかった方が、その後に基準に該当する障害の程度になった場合は、このときに請求することができます。この場合、請求書を提出した翌月分からの年金支給となります。
 請求できる年齢は、原則20歳から64歳までです。つまり、65歳を過ぎてからは原則として請求できませんので、該当する方はお早めに相談するようにしてください。
 

 4点目に、保険料納付の条件について説明します。
 障害年金の支給の条件には、被保険者期間中等に初診日があること、障害の程度が一定の基準に該当することと、もう一つ、国民年金、厚生年金の保険料の納付条件があります。つまり、障害の程度が基準に該当していても、初診日が被保険者期間中であっても、保険料納付条件を満たさない場合は、障害年金を受けることができません。ただし、20歳前の初診日の方の場合には、年金制度に加入する前であるため、保険料納付条件はありません。
 保険料納付の条件は、障害の原因となった傷病の「初診日」の前日までに、「初診日」の属する月の前々月までの年金加入期間のうち、保険料を納付した期間と納付免除された期間が合わせて3分の2以上であることが条件になっています。つまり、初診日の前々月までの年金加入期間のうち、未納期間が3分の1未満となることが必要であり、「初診日」以降に納めた期間は、納付期間とみなされません。ただし、この条件を満たせない場合、初診日が令和8年3月末日までにあるときの特例として、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に未納がないという条件を満たせばよいことになっています。
 

 5点目に、障害の程度の等級について説明します。
 年金を受けられる障害の程度を認定する基準には、国民年金の障害基礎年金に1級と2級が、厚生年金の障害厚生年金には、1級と2級のほか独自の3級の認定基準があります。
 なお、障害の等級でも、身体障害者手帳の等級とは、異なりますので御注意ください。
 一部、眼の障害のうち、視力の基準について説明いたします。

○1級の程度は、次に掲げるいずれかの視覚障害の方です。
 ① 両眼の視力がそれぞれ0.03以下の方
 ② 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下の方
 ③ ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4(1の4)視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2(1の2)視標による両眼中心視野角度が28度以下の方
 ④ 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下の方

○2級の程度は、次に掲げるいずれかの視覚障害の方です。
 ① 両眼の視力がそれぞれ0.07以下の方
 ② 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下の方
 ③ ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4(1の4)視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2(1の2)視標による両眼中心視野角度が56度以下の方
 ④ 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下の方

○3級の程度は、次に掲げるいずれかの視覚障害の方です。
 ① 両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じた方
 ② ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4(1の4)視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じた方
 ③ 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じた方
   視力以外の眼の障害として、視野障害、調節機能障害、まぶたの欠損障害等があり、障害が複数ある場合は、合わせた認定を行います。

 次に年金額について説明します。(注)金額は令和5年度のもの
 国民年金の場合は、障害基礎年金が支給され、年金額は、加入期間の長さにかかわらず、等級による一定額となります。
 ○1級は、昭和31年4月2日以降生まれの方は年額993,750円、昭和31年4月1日以前生まれの方は年額990,750円
 ○2級は、昭和31年4月2日以降生まれの方は年額795,000円、昭和31年4月1日以前生まれの方は792,600円です。 

 また、障害基礎年金の権利発生の時点又は、その後、加算要件を満たすお子さんがいる場合には、加給金が加算されます。
 加算額は、1人目と2人目のお子さんについて、1人年額228,700円、3人目以降のお子さんについて、1人年額76,2007円です。
 厚生年金の給付は、国民年金の場合と同様に支給される「障害基礎年金」部分と、厚生年金の加入内容に応じた上乗せの「障害厚生年金」部分から成り立っています。
 

 年金額は、
 ○1級の場合は、1級の障害基礎年金額昭和31年4月2日以降生まれの方は993,750円、昭和31年4月1日以前生まれの方は990,750円と「1級の障害厚生年金」の額が支給されます。
なお、「1級の障害厚生年金」の額は、2級の障害厚生年金の額の1.25倍となっています。
 

 ○2級の場合は、2級の障害基礎年金額昭和31年4月2日以降生まれの方は795,000円、昭和31年4月1日以前生まれの方は792,600円と上乗せ部分の「2級の障害厚生年金」の額が支給されます。
 

 ○3級の場合は、「3級の障害厚生年金」の額のみの支給となります。
この「3級の障害厚生年金」には、昭和31年4月2日以降生まれの方は596,300円、昭和31年4月1日以前生まれの方は594,500円の最低保障があり、障害厚生年金の額がこの額に満たないときは、当該額を最低保障として支給する仕組みになっています。
 これらのうち、1級及び2級については、障害厚生年金の権利発生の時点又は、その後、障害基礎年金の加算額と同様、加算要件を満たすお子さんがいる場合は、加給金が加算されます。また、権利発生の時点又は、その後、生計を維持している65歳未満の配偶者の方がいる場合は、配偶者加給年金額228,700円が加算されます。ただし、配偶者の方が年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止となります。
 3級には、子に係る加給金や、配偶者加給年金額の支給はありません。
 

 このほか、厚生年金には、独自の給付として、「障害手当金」という一時金の制度があります。制度の対象となる方は、
 ① 厚生年金加入中に障害の原因となった傷病の初診日があり、
 ② その傷病が、初診日からの5年以内に治り症状が固定し、その治った日において、「障害厚生年金」を受けるよりも軽い障害の状態であって、
 ③ 保険料の納付要件を満たしている方となります。
 ただし、他の年金の権利ある場合には該当しないなどの制限があります。このほか障害の程度を認定する基準など、詳しくは、年金事務所にお問い合わせください。
 

 次に、支給制限について、一部を説明いたします。
 障害年金の支給制限には、所得による制限と、他の年金などを受給していることによる制限があります。
 所得による制限については、
 「20歳前の初診日の障害により受給している障害基礎年金」についてのみ、本人の所得制限が設けられています。本人の所得が限度額を超えるときは、所得額に応じて年金額の全額又は2分の1の額が支給停止されます。所得限度額は、次のとおりで、扶養家族がいない方の場合、
  ○472万1千円を超えるときは、全額が支給停止され、
  ○370万4千円を超えるときは、2分の1の額が支給停止されます。
 

 扶養親族が1人いる受給者の方の場合、
  ○510万1千円を超えるときは、全額が支給停止され、
  ○408万4千円を超えるときは、2分の1の額が支給停止されます。
 扶養親族がいる方の場合、この所得限度額に、扶養親族の人数などに応じた額が加算されます。
 他の年金を受給している場合の制限については、65歳前の方は、複数の年金の権利があっても複数の年金を受けられるものではなく、ひとつの年金を選ばなければならないこと、65歳以上の方は、複数の年金の一部分ずつを組み合わせて受け取ることができるケースもあります。
 そのほかの制限については、業務上の原因による障害の場合で、障害年金のほか労働者災害補償保険法からも給付を受けられるときは、労働者災害補償保険法の給付が調整され、障害基礎年金及び障害厚生年金は調整されずに支給されるなどがあげられます。

 ⑵「特別障害給付金制度」(注)金額は令和5年度のもの
 ⑴で説明しました障害年金の現行制度では、国民年金加入が強制ではなかったために加入していなかった方が、その間に発生した病気やけがなどが原因で、現在一定以上の障害の状態にあっても、障害年金を受けることはできません。これらの方を救済する制度として、平成17年4月から始まったのが、「特別障害給付金制度」です。
 昭和61年3月以前のサラリーマンの配偶者であった方と、平成3年3月以前の学生であった方を対象に、障害基礎年金の障害の程度に該当した場合には給付金を支給する制度です。
 支給額は、障害基礎年金の1級の程度に該当する方は 月額53,650円、2級の程度に該当する方は 月額42,920円です。
 ただし、他の年金を受給している場合や本人の所得によって支給が調整又は停止されることもあります。
 以上、障害年金の仕組みや年金額等と、特別障害給付金の説明といたします。
 障害年金は、
  ○原則65歳前の請求という年齢制限があること、
  ○遅れた請求の場合に遡った支払を受けられないことが多いことなどから、早めの相談をしていただくことをお勧めします。
   なお、障害年金等について、更に詳しくお知りになりたい方は、
  ○国民年金の方の場合と、特別障害給付金については、 お住まいの市役所、区役所又は町村役場の国民年金係に、
  ○厚生年金の方の場合は、年金事務所に、ご相談ください。

⑶ 生活保護制度
 生活保護制度は、 すべての国民に最低限度の生活を保障するとともに、 その自立を助長することを目的としており、病気や身体の障害、思いがけない事故など、 いろいろな事情により真に生活に困ったすべての国民に対し、 国が困窮の程度に応じて必要な保護を行うものです。
 生活保護は、 まず、 利用していない土地・預貯金などの資産や働ける場合はその能力、 その他あらゆるものを最低生活維持のために活用し、 さらに、 扶養義務者の援助や、 年金、 各種手当など他の法律による給付を優先し、 それでもなおかつ最低生活を維持することができないときに行われます。
 したがって、保護は、 国が定めた基準により計算された最低生活費のうち、その世帯の収入に対して不足する分について行われるものであり、金銭又は現物により給付されます。
 保護の種類は、 生活扶助・住宅扶助・教育扶助・介護扶助・医療扶助・出産扶助・生業扶助及び葬祭扶助の8つの扶助があります。
 生活保護についての詳しいことは、市の福祉事務所及び県の保健福祉事務所又は地区民生委員・町村役場に御相談ください。
 このほか、以下の支援制度もございますので、ご活用ください。

(4) 生活困窮者自立支援制度
 経済情勢や雇用情勢の変化、少子高齢化による高齢単身世帯の増加、ひとり親世帯の増加など社会情勢が大きく変動するなかで、従来の福祉制度や社会保障制度などのセーフティネットの対象とならず生活に困窮する方が増加しています。このような状況に対応するために、平成27年4月1日から「生活困窮者自立支援制度」が始まり、平成30年10月1日に「改正生活困窮者自立支援法」が施行されました。
 この制度は、世帯や個人が抱える悩みや問題の種類を問わず、自立相談支援機関に相談することで、それぞれの問題を解決し、自立できるよう支援する制度です。一人一人の状況に応じて、各種支援制度を利用しながら、自立相談支援機関が問題解決に向けたサポートを行い、自立に向けた支援を行います。また、自分で助けを求めることができない方や相談に来られない方には、相談員が訪問するなど、その方に合った方法で相談に応じます。
 生活に困窮する方の相談支援の窓口は、市にお住まいの方は、最寄りの福祉事務所、町村にお住まいの方は、自立相談支援センターなどとなっております。

 では、具体的な福祉サービスには、どのようなものがあるのでしょうか。
その内容についてお話ししましょう。

3 障害者自立支援制度(介護給付・訓練等給付)について
 この制度は、障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害・難病患者等)にかかわらず、障害のある人々が必要とするサービスを提供するものです。介護の支援を希望する場合は「介護給付」に、訓練等の支援を希望する場合は「訓練等給付」に位置づけられ、それぞれ利用の際のプロセスが異なります。介護給付には、自宅で入浴、排泄、食事の介護を行うホームヘルプ、医療機関で療養上の管理、看護を行う療養介護等のほか、外出時において、移動の補助を行うとともに必要な視覚的情報を提供し、代筆や代読、排せつ及び食事等の介護など様々な援護を行う同行援護があります。訓練等給付には、一定期間、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行う自立訓練、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う就労移行支援等があります。
 サービスの支給を希望される場合には、お住まいの市町村障害福祉担当窓口にて申請を行ってください。市町村の担当窓口で心身の状況について調査を行い、コンピューターでの障害支援区分の一次判定を行います。同行援護を希望する際には、これに加えて専用のアセスメント票による調査も行います。その後、市町村審査会での二次判定の結果により障害支援区分の認定が行われ、利用者の方のサービスの利用意向を聴取した上で支給が決定します。同行援護に関しては、障害支援区分の認定に応じて、同行援護に加算が伴うかどうかも決定します。
 また、利用者負担は、サービス量と所得に着目した負担の仕組み(1割の定率負担と所得に応じた月額上限の設定)となっています。なお、低所得の方に配慮した各種軽減策により、市町村民税非課税の障害のある人についても、福祉サービスや補装具に係る利用者負担額が無料になりました。
 障害者自立支援制度について詳しいことをお知りになりたい場合は、お住まいの市町村障害福祉担当窓口までお問い合わせください。
 
4 補装具費の支給
  身体機能の不十分な部分を補い、また、それに見合うものを代用し、長期間にわたって継続して使用する補装具があります。
  視覚障害者用補装具には、視覚障害者安全つえ・義眼・眼鏡の3種類あり、義眼には、普通義眼・特殊義眼・コンタクト義眼。眼鏡には、矯正眼鏡・遮光眼鏡・コンタクトレンズ・弱視眼鏡があります。
  利用者負担額は原則として1割となっております。ただし、世帯の所得に応じて上限が決められるなど、負担が重くなりすぎないようになっています。
補装具の購入又は修理を希望する場合、お住まいの市町村障害福祉担当課に問い合わせてください。

5 地域生活支援事業
  障害のある人が、その有する能力や適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、住民に最も身近な市町村が様々な事業を実施しています。
  また、市町村及び県は、地域で生活する障害のある人のニーズを踏まえ、地域の実情に応じた柔軟な事業形態での実施が可能となるよう、自治体の創意工夫により、事業の詳細を決定し、効率的・効果的な取組を行っています。
それでは、主な事業をご紹介します。

⑴ 日常生活用具の給付等
  障害のある人等に対し、日常生活上の便宜を図るための日常生活用具の給付又は貸し出しを行います。
  これらの用具には、自動消火器・電磁調理器・歩行時間延長信号機用小型送信機・盲人用体温計(音声式)・盲人用体重計・パーソナルコンピュータ周辺機器・アプリケーションソフト・点字ディスプレイ・点字器・点字タイプライター・視覚障害者用ポータブルレコーダー・視覚障害者用活字文書読上げ装置・視覚障害者用拡大読書器・盲人用時計などがあります。
なお、市町村により、対象となる用具・利用者負担額が異なりますので、詳しくはお住まいの市町村障害福祉担当課にお問い合わせください。

⑵ 社会参加促進事業
  県では、各地域にある障害者福祉団体の協力を得て、在宅障害者の社会参加を促進するため、次のような事業を行っています。
  1つめは、視覚に障害のある方を対象として、家庭生活や社会生活に必要な知識の習得や生活技術の訓練、体験交流などを行う「視覚障害者家庭・社会生活訓練事業」です。
  主な内容は、家事や趣味、教養など家庭生活に係る訓練と、職業や人間関係など社会生活上必要な知識の習得のための訓練です。また、この事業は、視覚に障害のある方が生活を営んでいる地域の実状に応じた内容により、県内各地域で実施しています。
  2つめは、中途失明者に対して、社会復帰の促進を図るため、今後の生活に関する助言や指導、自立生活に必要な感覚訓練や点字訓練等に関する講習を行う「中途視覚障害者相談等事業」です。
  具体的には、電話等による生活相談や、目の見えにくい方とその家族の方を対象に、日常生活に関する相談会を実施します。相談会では、拡大読書器や音声読上げ機器などの視覚障害者用福祉用具の紹介も行っています。また、白杖による歩行訓練や点字訓練、音声によるパソコン訓練なども実施しています。
  3つめは、「みやぎ県政だより」の点字版と音声版を作成し、視覚に障害のある方に配布しています。音声版はCDに収録されており、宮城県知事のコラム「村井が走る」は、知事本人が朗読していますので、是非お聞きになってください。

  これらの事業は、公益財団法人宮城県視覚障害者福祉協会への委託事業として実施していますので、詳しいことは、直接、協会事務局にお問い合わせください。
  連絡先は、〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4丁目6-2
   「宮城県障害者福祉センター」内 電話 022-257-2022 です。
   Eメールアドレスは、 miya-shikyo@orange.plala.or.jp です。

⑶ 身体障害者補助犬育成事業
 県では、身体に障害のある方に対して身体障害者補助犬を貸与した訓練事業者に補助金を交付する事業を行っています。貸与を受ける方は、原則費用の負担はありませんが、貸与事業者によって異なる場合があります。また、盲導犬の貸与を受ける際には、盲導犬と一緒に4週間程度の歩行訓練を受けていただくなど、いくつか条件があります。
 詳しいことは、県「障害福祉課」まで、お問い合わせください。
〒980-8570  仙台市青葉区本町3丁目8-1
   電話 022-211-2541 です。

6 利用施設
  宮城県内にある、「利用施設」をご紹介します。
  県内には「宮城県視覚障害者情報センター」、「宮城県図書館」、「みやぎ障害者ITサポートセンター」、「宮城県障害者福祉センター」、「宮城県障害者総合体育センター」、「宮城県聴覚障害者情報センター(みみサポみやぎ)」などがあります。

  「宮城県視覚障害者情報センター」は、目の不自由な方のための情報提供施設です。
  情報センターでは文芸作品をはじめ実用書や専門書から娯楽的な分野のものまで幅広く点字図書、録音図書を取り揃え、貸し出しに応じています。録音図書はデイジーCD版です。
  なお、点字図書や録音図書の貸し出し、返却の送料は無料です。
  また、図書の貸し出しの他に次のようなサービスも行っております。

  1つめとして「点字を学びたいという目の不自由な方のために、点字指導」があります。
  2つめとして、「図書をはじめ資料等についての相談及び日常の社会生活における相談への対応」があります。
  3つめとして、「電化製品等の説明書など、日常生活において必要とする生活関連資料等を点訳または録音して提供するプライベートサービス」があります。
 4つめとして、「視覚情報センターだより等、数種類の定期刊行物を発行し、新刊図書情報や生活情報の提供」があります。
 5つめとして、パソコン操作やインターネットの活用が、いつでも自由に体験できる音声ガイド付パソコンを設置しております。
  利用のお申し込み、ご相談は、電話等でも受け付けています。なお、開館時間外や休館日でも留守番電話により24時間受付しています。

  詳しいことは「宮城県視覚障害者情報センター」までお問い合わせ下さい。
  連絡先は、〒980-0011 仙台市青葉区上杉6丁目5-1
  電話 022-234-4047 です。
  Eメールのアドレスは、 miyagi-sikaku@nifty.com です。

  次に「宮城県図書館」では、目の不自由な方のために、録音図書や点字雑誌、大活字本等の貸し出しをしています。これらは郵送での貸し出しにも対応しております。
また、本や手持ちの資料をお読みする音訳サービスがあります。来館できない方のために電話での音訳サービスにも対応しておりますが、音訳サービスを利用する場合はあらかじめ電話での予約が必要です。
郵送での貸し出しや音訳サービスについてのお問い合わせ先は、
  〒981-3205 仙台市泉区紫山1丁目1-1 電話 022-377-8444 です。
  Eメールのアドレスは、郵送の貸し出しについては yuusou@library.pref.miyagi.jp 
  音訳サービスについては kikaku@library.pref.miyagi.jp です。

  次に「みやぎ障害者ITサポートセンター」では、パソコンの利用に関する相談、ITを活用した就労支援の窓口を設置して、電話相談や出張サポートを行っているほか、パソコンの基礎知識やインターネット、電子メールの利用に関する講習会も行っています。他にも、「プレクストーク」などの音声読上げ機器の使い方講習も行っております。
  連絡先は、〒983-0034 仙台市宮城野区扇町2丁目2-27テクノロジークラウド102 
電話 022-781-7488 です。

 次に「宮城県障害者福祉センター」では、あらゆる相談に応じてくれるほか、色々な催し物も行っています。
  催し物の開催日程や内容などは年度によって変更される場合がありますので、参加ご希望の方は、あらかじめ「宮城県障害者福祉センター」へ問い合わせてください。
連絡先は、〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4丁目6-2
電話 022-291-1585 です。

 次に「宮城県障害者総合体育センター」では、障害者スポーツやレクリエーション活動を行う場として、体育館やグラウンドを利用することがで  きます。また、障害のある方が同じく利用できる「幸町ウェルフェア温水プール」が隣接しています。
 体育館及びグラウンドの利用の際は、事前予約が可能です。ご希望の方は、あらかじめ「宮城県障害者総合体育センター」へ問い合わせてください。
  連絡先は、〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4丁目6-1
  電話 022-295-6550 です。
 「幸町ウェルフェア温水プール」の連絡先は、〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4丁目6-2 電話 022-293-3477 です。

 最後に「宮城県聴覚障害者情報センター(みみサポみやぎ)」では、耳の不自由な方に向けた、生活や災害に関する情報発信を行っています。また、耳の不自由な方やその家族の方が利用できる相談窓口が設置されています。
  連絡先は、〒980-0014 仙台市青葉区本町3丁目1-6
  電話 022-393-5501 です。

7 更生援護
 重度の障害のある方が必要な医療を安心して受けられるよう医療費の自己負担額を助成する制度や、その負担の軽減を図ることを目的とした福祉手当制度があります。

⑴  特別障害者手当
 20歳以上であって著しく重度の障害のために日常生活で常に特別の介護が必要な状態であるときは、特別障害者手当が支給されます。
 また、20歳未満であっても、重度の障害のために日常生活で常に介護が必要な状態にあるときは、障害児福祉手当が支給されます。
 もう少し詳しく説明しますと、特別障害者手当に該当するようなケースは障害基礎年金の1級に該当する障害が2つ以上ある場合です。
 また、障害児福祉手当の場合は、視覚障害であれば次に掲げるいずれかに当てはまる場合に該当します。
  ○両眼の視力がそれぞれ0.02以下の方
  ○両眼の視力がそれぞれ0.03以下、または一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下であって、かつ両眼による視野が2分の1以上欠損している方
 加えて、次に掲げるいずれかに当てはまる場合については、両眼による視野が2分の1以上欠損したものと同じものとみなします。
  ○両眼開放視認点数が100点以下の方
  ○両眼中心視野角度が56度以下の方
  ○両眼中心視野視認点数が40点以下の方
 この手当の支給を受けるためには、障害の程度について認定が必要となりますので、市の福祉事務所または町村役場にお尋ね下さい。
手当は物価の変動などにより改正されますが、特別障害者手当は月額27,980円、障害児福祉手当は月額15,220円となっています。また、その人の所得や配偶者・扶養義務者の所得によって制限があります。

⑵ 障害者医療費助成制度
 この制度も所得によって制限がありますが、身体障害者手帳が1級、2級の重度の障害者の方及び3級のうち内部障害(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸、免疫又は肝臓の機能障害)の方、また、精神障害者保健福祉手帳1級の方が病気になったとき、医療費の自己負担額が助成される「障害者医療費助成制度」があります。
 この制度を利用するには、あらかじめ市の福祉事務所や町村役場の窓口で「障害者医療費受給者証」の交付を受ける必要があります。
 詳しいことについては、市の福祉事務所または町村役場の福祉担当課に問い合わせてください。

⑶ 自立支援医療(更生医療)
 身体に障害のある方が、知事の指定した医療機関において、障害を軽くしたり、日常生活上効果が見込まれると医師が認めた治療を受ける場合に、医療の給付を行います。
 対象となる医療の例といたしましては、角膜混濁による視力の低下を防ぐ手術や瞳孔閉鎖症に対する手術、水晶体摘出術などです。
 これらの自立支援医療(更生医療)を受けるには、あらかじめ市の福祉事務所や町役場の窓口で「自立支援医療受給者証」の交付を受ける必要があります。
 自己負担については原則として医療費の1割負担となっております。
ただし、世帯の所得に応じて上限が決められるなど、負担が重くなりすぎないようになっています。
 詳しいことについては、市の福祉事務所または町村役場の福祉担当課に問い合わせてください。

8 税金
 次に税金について説明します。税金については、一定の要件に該当する場合、税の負担が軽くなる場合があります。

 ⑴  所得税・住民税
 障害者であっても一定以上の収入があれば課税されますが、所得金額から差し引かれる障害者控除があります。この控除額は、1級及び2級の方は所得税で40万円、住民税で30万円、3級以下の方は、所得税で27万円、住民税で26万円となっています。また、配偶者や扶養親族が同居の特別障害者である場合の控除額は、所得税で75万円、住民税で53万円となっています。

 ⑵  預貯金の利子等
 一律に所得税、復興特別所得税及び県民税合わせて20.315%が課税されますが、障害者の方は、申請により元本350万円まで非課税となります。

 ⑶  個人事業税
  一定の要件に該当する視覚障害者が、あんま、はり、きゅうなどを営業している場合には課税されないことになっています。

 ⑷  自動車税(環境性能割・種別割)及び軽自動車税(環境性能割・種別割)
  一定の要件に該当する障害者が所有し、障害者が運転する場合、又は障害者と生計をひとつにしている方が運転し、その自動車が専ら障害者のために使用される場合、若しくは障害者のみで構成される世帯の障害者を常時介護する方が運転し、その自動車が専ら障害者のために使用される場合には、申請により減免されます。減免上限額については、自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割が課税標準額250万円まで、自動車税種別割が年額43,500円(ただし、令和元年9月30日以前に初回新規登録を受けた自動車の場合は、45,000円)までとなります。
なお、視覚障害の場合4級以上の身体障害者手帳をお持ちの方が減免の対象となります。
また、軽自動車税種別割については、お住まいの市町村税務担当課までお問い合わせください。

 ⑸  相続税
 相続人が85歳未満で障害者の場合は、障害者控除が受けられ、相続税の額から一定の金額が差し引かれます。控除される額については、その方が満85歳に達するまでの年数に対し、1級及び2級の障害者の場合には1年につき20万円、3級以下の障害者の場合には1年につき10万円となります。 

 なお、県税について更に詳しくお知りになりたい方は、最寄りの県税事務所にお問い合わせください。また、国税に関する相談については、最寄りの税務署に、市町村税に関する相談については、お住まいの市役所又は町村役場にお問い合わせください。

9 生活福祉資金
 次に、お金を借りる場合についてご紹介します。
 ここでは、低所得世帯、障害者世帯及び高齢者世帯を貸付の対象とする「生活福祉資金」について説明します。
 「生活福祉資金」は、「市区町村社会福祉協議会」が窓口となっています。
 「生活福祉資金」の貸付金には、生業を営むために必要な経費、技能修得に必要な経費、住宅の増改築、補修等に必要な経費、福祉用具等の購入に必要な経費などを貸し付ける「福祉資金」があります。また、緊急時に、医療費などの臨時の生活費が必要となった場合に貸し付ける「緊急小口資金」、高等学校や大学等への入学や就学に必要な経費を貸し付ける「教育支援資金」、高齢者世帯に居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける「不動産担保型生活資金」、失業等により生活が困窮している世帯に生活再建に必要な生活費や住居の確保に必要な経費を貸し付ける「総合支援資金」があります。
 貸付対象者の要件、貸付利子、償還期間及び貸付限度額は貸付金の種類毎に異なりますので、詳しいことについては、宮城県社会福祉協議会又は市区町村社会福祉協議会にお問い合わせください。

10 運賃割引などその他の制度
  次に、公共機関の料金割引や特例について述べてみましょう。
  まず鉄道運賃の割引ですが、1種の障害者、視力でいうと視力の良い方の眼の視力が0.1以下の人や、視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下の人、周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が56度以下の人、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下の人の場合、本人と付添いの人ともそれぞれ5割引となっています。つまり、本人と付添いの人をあわせて1人分の料金ということになります。この制度は、普通乗車券だけではなく、定期乗車券、回数乗車券そして急行券にも適用されます。
  また、1種の障害者と2種の障害者が一人で乗車する場合には、片道100km を超える区間で料金が5割引になります。
  なお、切符を買うときは、1種の障害者の方が介護者とともに片道100km までの区間を利用する場合は、自動券売機により、半額の「小児乗車券」を購入することができます。その際は自動改札機を通らずに、係員のいる改札口で手帳を提示してください。その他の場合は、発売窓口で手帳を提示して割引乗車券を買うことになります。
  航空料金の場合は、定期航空路線の国内線全区間で、満12歳以上の身体障害者および、同一便に搭乗される介護者の方お一人の料金が割引になります。 
  いずれの場合も切符を買う時に窓口で身体障害者手帳を提示すると、割引切符を買うことができます。
  なお、割引運賃額については、各航空会社ごとに異なりますので、各社にそれぞれ問い合わせてください。
  バスの運賃につきましては、運賃を支払う際に身体障害者手帳を提示すると、障害の程度に関係なく、5割引となります。ただし、高速バスの一部で割引を行っていない車種がありますので事前にお問い合わせください。
  なお、地下鉄の場合には、半額の「割引用」の乗車券で乗車することができます。この場合は、窓口の係員に身体障害者手帳を提示し、割引用の券を受け取って乗車し、下車するときに精算するようになります。
 次に、有料道路における割引についてですが、障害者本人が運転する場合又は1種の障害者が乗車し、その移動のために介護者が運転する場合には5割引となります。 
 割引の対象となる自動車の範囲、所有者など、詳しくは市の福祉事務所または町村役場の福祉担当課へ問い合わせてください。
 次に駐車禁止の対象除外についてですが、歩行困難と認められる障害者等の方が使用する自動車に対し、駐車禁止除外指定車標章を交付し、公安委員会及び警察署長が道路標識、道路標示により駐車禁止とした道路において、付近に駐車する場所がないなどのやむを得ない場合で、自動車に障害者等の方が現に使用しているとき又は乗車しているときに限り、駐車を認めています。ただし、法定の駐停車・駐車禁止場所については対象外です。申請の手続など詳しいことは、最寄りの警察署交通課にお問い合わせください。なお、視覚障害では、1級から3級までの各級、及び4級の1の方が対象となっています。
 また、平成30年度から、ゆずりあい駐車場利用制度が始まりました。この制度は、障害のある方などの歩行が困難な方に対して、制度の対象となる駐車区画の利用証を県が交付する制度です。詳しくは県の社会福祉課または各保健福祉事務所までお問い合わせください。
 同じく、平成30年度から、ヘルプマークの配布を開始しました。これは、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方から援助や配慮を得やすくなるよう作成されたマークです。配布窓口にて無償で配布しておりますので、詳しくはお住まいの市町村障害福祉担当課にお問い合わせください。

 次にNHKの放送受信料ですが、視覚障害者の方が世帯主で、世帯主の方が受信契約者となっている場合は、半額が免除になります。また、障害者の方がいる世帯で、世帯構成員全員の方が市町村民税非課税の世帯については全額免除になります。
 これら免除を受けるためには、市の福祉事務所または町村役場で申請書に免除事由の証明をもらい、NHKに提出する必要があります。
 次に郵便についてですが、点字郵便物は3キログラムまでが無料です。録音図書や点字図書類は、宮城県視覚障害者情報センターや宮城県図書館との貸し出し、返却は無料となります。ただし、個人間で郵送する録音物は有料となりますので、御注意ください。
 

 次に、NTTの電話番号案内は、視覚障害者の方については、あらかじめ登録することにより無料となりますので、お近くのNTT窓口に申し込んでください。
 

 次に、携帯電話の割引についてですが、障害者の方が契約される場合には、基本使用料等について割引となります。
 サービスの内容や割引率については、各社ごとに異なりますので、それぞれ問い合わせてください。

 また、県営住宅の定期募集(6月・9月・12月・3月)において、優遇制度があります。
 対象としては、4級以上の障害者がいる世帯で住宅に困っていることを前提にしていますが、詳しいことは宮城県住宅供給公社までお問い合わせください。
 連絡先は、〒980-0011 仙台市青葉区上杉1丁目1-20ふるさとビル1階公営住宅課
 電話 022-224-0014 です。

11 福祉サービスの窓口
 宮城県内の福祉事務所は、市部では1か所ずつ設置されており、町村部には、県が保健福祉事務所と、その地域事務所を、7か所を設置しています。
 県が設置している保健福祉事務所・地域事務所の名前と電話番号は次のとおりです。

 ・宮城県仙南保健福祉事務所(所在地、大河原町) 電話 0224-53-3115
 ・宮城県仙台保健福祉事務所(所在地、塩竈市)  電話 022-363-5502
・宮城県北部保健福祉事務所(所在地、大崎市)   電話 0229-91-0707
 ・宮城県北部保健福祉事務所 栗原地域事務所(所在地、栗原市) 電話 0228-22-2112
 ・宮城県東部保健福祉事務所(所在地、石巻市)  電話 0225-95-1416
 ・宮城県東部保健福祉事務所 登米地域事務所(所在地、登米市) 電話 0220-22-7514
 ・宮城県気仙沼保健福祉事務所(所在地、気仙沼市)電話 0226-22-6661

の7か所です。
 

 また、それぞれの市では福祉事務所を、各町村役場では、福祉担当窓口を設置してありますので、ご相談ください。
 さらに、公益財団法人宮城県視覚障害者福祉協会では、視覚障害者の福祉向上を目指して、視覚障害者に対する指導援助等の相談活動を行っております。連絡先は、
  電話 022-257-2022 です。

 令和5年度視覚障害者福祉ガイドは以上です。